2020.09.29

久保建英のすばらしき「ふてぶてしさ」。
バルサ戦で見せた華麗な駆け引き

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Reuters/AFLO

 この日、久保が他の選手にできなかったことをやってのけたことは間違いない。バルサを相手に一歩も引かなかった。

 スペイン大手スポーツ紙『マルカ』も、ほとんどのビジャレアルの選手に(0~3の4段階評価)0か1をつけたにもかかわらず、途中出場の久保とビッグセーブを見せたGKセルヒオ・アセンホだけに2を与えている。及第点だ。

 また『アス』も、敗軍の中で久保を数少ない明るい材料として取り上げている。

「久保は最後の15分に投入され、チームにひらめきを与えた。2回、危険なチャンスを作り、GKネトに仕事をさせている。シュート性のクロスと狙い澄ました左足シュートに対応しなければならなかった」

 9月30日、本拠地マドリガル。ビジャレアルはアラベスと対戦することになっている。中2日のゲームになるだけに、先発メンバーの大幅な入れ替えも予想される。指揮官としては、大敗のイメージを払拭する必要があるだろう。

 その点、力を示した久保の先発は十分にあり得る。

 アラベスは今シーズン、1分2敗と未だ勝ち星がない。パブロ・マチン監督は、4バック、3バックを併用する戦術家だが、選手個々の力をまだ引き出せていない状況にある。GKフェルナンド・パチェコは、レアル・マドリード育ちで高い評価を受ける守護神だが、チームとして磐石とは言えない。

 もし、ここで久保が勝利に関わるような活躍を示すことができたら、一気にレギュラーの座獲得に名乗りを上げることになるだろう。新入団のクラブでは、そうやって段階的にポジションを勝ち取っていくしかない。与えられるポジションなどない。その競争こそが、チームとしての強さも生むのだ。

 少なくとも現在の久保は、タフな世界で堂々と戦い続け、居場所を掴もうとしている。その過程では失敗も成功もあるだろうが、立居振る舞いそのものは実に雄々しい。アラベス戦は、新しいシーズンでひとつ目の山場になるだろう。

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