2020.09.27

久保建英がカンプノウに立つ「ドラマ」。バルサ戦は短い出場でも脅威になれる

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 右サイドの縦パスをディフェンスの背後で受けると、追走してきた相手に対し、いったんスピードを緩めてから加速する緩急差で置き去りにし、シュート性クロスで決定機を作り出していた。ポルトガル代表のケビン・ロドリゲスを手玉に取った形で、ワンプレーで非凡さを証明した。

 ポジティブに考えれば、ジョーカーになっている。バルサ戦も十分に脅威になるだろう。

 バルサの左サイドバック、ジョルディ・アルバは、攻撃に関しては今も欧州屈指の技量を誇るが、ディフェンスは衰えも指摘されている。受け身になった時のバルサのバックラインは脆く、右サイドバックのセルジ・ロベルトも本職ではないだけに、守備面で対応が後手に回ることがある。GKも、守護神マルク=アンドレ・テア・シュテーゲンは膝のケガで不在の状況だ。

 ビジャレアルの攻撃力は侮れない。

 エースであるスペイン代表FWジェラール・モレノは、エイバル戦でも鮮やかなゴールを決めている。昨シーズンはサラ賞(スペイン人得点王)を受賞。バルサのジェラール・ピケ、クレマン・ラングレと対峙しても一歩も引けを取らないだろう。終盤、スクランブルになった時間帯で、切り札として投入された久保と絡むことができたら――。

 新たにビジャレアルに移籍した久保には、途中出場が続いていることで懐疑的な意見もあるだろう。しかし、右サイド、左サイド、トップ下という3つのポジションで交代の1、2番手となっている状況は、少しも悲観する必要はない。

 右サイドで久保とポジションを争うチュクウェゼは、ナイジェリア代表でも昨シーズンからのレギュラー。昨季リーグ戦5位だったチーム内の競争は激しく、準レギュラーだったハビエル・オンティベロスは、久保に押し出される形で、レンタル移籍が濃厚になっている。フェルナンド・ニーニョ、アレックス・バエナという生え抜きの若手や、まもなく復帰予定のコロンビア代表FWカルロス・バッカなど有力選手は多く、ピッチに立つだけでも簡単ではない状況なのだ。