バルサがまさかの守備的戦術も。伝統の4-3-3を捨てる (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by David Ramos/Getty Images

 バックラインは、右からセルジ・ロベルト、ジェラール・ピケ、ラングレ、ジョルディ・アルバ。GKはノルベルト・ムラーラ・ネトが基本になるだろう。マルク=アンドレ・テア・シュテーゲンは、膝のケガで序盤戦は棒に振ることになる。ネウソン・セメドは3500万ユーロ(約42億円)でウルバーハンプトンへの移籍が決定的で、そこで得た移籍金をアヤックスの19歳、アメリカ代表の右SBセルジーニョ・デストの獲得に回す手はずになっている。他にジュニオール・フィルポ、ムサ・ワゲ、ジャン=クレール・トディポを売却し、マンチェスター・シティの19歳、スペイン代表CBエリック・ガルシアを狙う格好だ。

 いずれにせよ、守りに入って強い面子ではない。インテンシティの勝負では劣る。あくまでボールを支配し、「攻撃こそ最大の防御なり」の陣容だ。これでクーマンの言う「ディフェンシブな戦い」は成り立つのか。守りが耐え切れないと攻撃陣は孤立し、前線の選手はグリーズマン以外、守備を持ち味にしていない。昨シーズン、バイエルン戦で力勝負を挑み、2-8と惨敗した悪夢がよぎる。

「あの試合は忘れられない。試合直後、もうサッカーがしたくなくなったほどで、最低の夏を過ごすことになった」

 4人のキャプテンのひとりであるセルジ・ロベルトは言う。

 9月27日、バルサは本拠地カンプノウで久保建英を擁するビジャレアルとリーガ・エスパニョーラ開幕戦を迎える。8月まで昨シーズンを戦っていたことで、開幕は第3節からになった。

 クーマンはストイックに結果を追求する戦いをするだけに、たとえ引き分けでも批判は噴出するだろう。はたして、幸先のいいスタートを切れるのか。

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