バルサがまさかの守備的戦術も。
伝統の4-3-3を捨てる

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by David Ramos/Getty Images

 クーマンからは電話で戦力外を通告されていた。タイトル獲得など条件をクリアした場合、移籍金600万ユーロ(約7億2000万円)が支払われる規定だ(バルセロナは当初、移籍金1000万ユーロを要求したが、はねつけられ、高額の給料支払いを回避するため、折れることにした)。

 はたして、リーグ優勝を争うチームにエースをプレゼントすべきだったのか。2015-16シーズン、スアレスはリーグ戦40ゴールでリーガ得点王に輝いている。昨シーズンも、ケガにもかかわらず、カップ戦を含めて21得点を記録。彼以上のストライカーを探すのは至難の業だろう。昨シーズン途中で加入のFWマルティン・ブライスワイトなど、とっくに構想外だ。

 とは言え、クーマン監督は代役のFWは考えていない。

 右にアントワーヌ・グリーズマン、0トップにリオネル・メッシ、トップ下にコウチーニョ、左にアンス・ファティもしくはウスマン・デンベレ。いわゆるストライカーは起用しない、4人のアタッカーで攻撃を仕掛ける布陣になるだろう。

 退団騒動で渦中の人になったメッシは、ジョゼップ・マリア・バルトメウ会長とは決裂しても、プレーに集中しているように映る。レンタル先のバイエルン・ミュンヘンから復帰したコウチーニョも好調で、どうやらクーマンの信頼が厚いようだ。また、ファティは17歳でスペイン代表デビューゴールを挙げるなど、覚醒のシーズンとなる予感はある。

 他に台頭著しいのが、ポルトガル1部リーグのブラガから獲得した20歳の左利きアタッカー、フランシスコ・トリンコンだろう。ポルトガル代表のルーキーは、3試合で計134分プレー。右サイド、もしくはトップ下でバックアッパーの地位を勝ち取りつつある。スペインU―21代表、17歳のペドリも、0トップかトップ下で食い込んでいるが、移籍の噂があるオランダ代表FWメンフィス・デパイ(リヨン)を獲得した場合、レンタルで出されるだろう。

 現時点で、悪くない陣容にも見える。しかしながら、リーグ戦やチャンピオンズリーグで上位のクラブと対戦したときはどうなるか。

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