魔法の左足は健在。ハメス・ロドリゲスがプレミアで大暴れの予感 (2ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

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<魔法の左足のトリセツ>

 左足のボールタッチとキックの精度、繊細さに図抜けたものがある。ハメスは、言わば"ラッシュ"をしないメッシである。

 リオネル・メッシ(アルゼンチン)をメッシにしているのが、ボールを足下につけたまま密集地帯へ突っ込んでいく"ラッシュ"なので、それがなければもはやメッシとは言えないかもしれない。だが、ラッシュなしでもメッシがすばらしい選手であることに変わりはない。

 ハメスは強引なドリブルこそやらないが、相手のタックルをかわすテクニック、針の穴を通すようなパス、広い視野から繰り出すサイドチェンジなど、プレーぶりがメッシとよく似ているだけでなく、質的にも遜色はない。

 いわゆる逆足のウイングだが、ハメスはドリブラーというよりパサーでありプレーメーカー、チャンスメーカーだ。局面の解決能力が高く、多彩なアイデアがある。

 メッシより近い選手を探すならメスト・エジル(ドイツ)であり、日本なら中村俊輔だろう。アスリート色が強くなった現在のヨーロッパサッカーでは、多少生きづらいタイプかもしれない。

 サイドからの芸術的なパスが持ち味の選手には、パートナーと周囲の支援が必要になる。

 イビチャ・オシム監督(ボスニア・ヘルツェゴビナ)の時の日本代表で、アジアカップに中村俊輔を招集するかどうかがよく話題になっていた。オシム監督は返答をはぐらしつつ、中村を起用する条件について、「クロスボールに飛び込む選手、スペースをつくる選手」など、組み合わせる味方が必要になると話していた。

 クロスに飛び込むほうはともかく、スペースをつくるほうの意味がその時はよくわからなかった。アジアカップが開幕すると、右サイドバックの加地亮が何度も中村の外側を追い越していくのを見て、はじめてこのことかと理解したのを覚えている。

 守備側にとって、オーバーラップへの対応は先にスペースを埋めるのが定石だ。つまり、中村と対峙していた相手DFは、加地の追い越しを予測したら中村を離して加地が入ってくるスペースへ移動する。

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