2020.09.14

久保建英と岡崎慎司。新環境の2人が
開幕戦で見せた「明るい兆し」

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 短い時間だが、ボールを集め、多くのプレーに関与していた。プレシーズンでもそうだったが、サムエル・チュクウェゼ、パウ・トーレス、ジェラール・モレノなど、同じ左利き選手とのパス交換は玄妙だった。お互い、独特なリズムが合うのだろう。

 アディショナルタイムには、クロスがブロックされたこぼれ球をエリア内で拾い、間髪入れず、左足でシュート。中に飛び込んだ選手が合わせれば、クロスにもなる一撃で、決定機だった。15分程度の出場で、久保は見せ場を作ることができた。

 あらためて言うまでもないが、久保は昨シーズン5位のチームに入っている。そこに19歳の選手がフィットするのは、一朝一夕ではいかない(事実、先発8人が昨季までの主力だった)。久保に対する評価は、どのスポーツ紙も星ひとつ(0~3の4段階評価)だったが、そこには「次回以降に評価を」という文脈も見え隠れし、まずは一歩を踏み出した試合だったと言える。

 一方、ウエスカの岡崎は、1部昇格を牽引したチーム内最多得点ストライカーとして、トップで先発フル出場している。

 前半途中からビジャレアルが主導権を握ったことで、なかなか目立つことはなかったが、堅実にポジションを取り続け、いい守りをいい攻めにつなげる役割を地道に果たしていた。スペースを見つけ、作る動きは俊逸。戦術的な能力が高いプレーヤーで、集中力が落ちず、30分過ぎからボールを受けられるようになった。

 スペイン代表で世界王者メンバーのラウル・アルビオルのディフェンスを受けながらも、岡崎は少しも怯んでいない。堂々と渡り合って、「1部リーグでも通用する」ことをあらためて示している。

 何よりマークを外す感覚は天才的だ。

 34分にはFKをエリア内で、確実にヘディングで合わせて際どいシュートを放っている。53分にも、左からのクロスをニアで飛び込み、ダイビングヘッドで合わせた。瞬間的にフリーになって、ボールを呼び込み、"当て勘"にも優れている。