久保建英と岡崎慎司。新環境の2人が開幕戦で見せた「明るい兆し」

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

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 2020-21シーズン、リーガ・エスパニョーラ開幕戦。ビジャレアル対ウエスカは、久保建英と岡崎慎司の"日本人対決"として注目を浴びた。しかし、試合結果(1-1)に対する各スポーツ紙の見出しは現実的だった。

「(ウナイ・)エメリもスタートに躓く」(『アス』紙)

 ビジャレアルは2014年から開幕戦で勝っておらず、新監督エメリも例外ではなかったというわけだ。

「エメリに初めての"イエローカード"」(『マルカ』紙)

 ビジャレアルが昇格組のウエスカに苦戦し、どうにかVARで引き分けた、という論調だ。

「VARがビジャレアルの勝ち点獲得を救い、ウエスカの勝利を妨げた」(『ムンド・デポルティーボ』紙)
 
 こちらもウエスカの健闘を称えつつ、主役を選手や監督でなく、VARに据えた印象だ。

 3紙が共通して最も高い評価を与えたのが、ビジャレアルがPKで得点を決めたジェラール・モレノ、ウエスカがアンドレス・フェルナンデスだった。その次がウエスカの得点者であるパブロ・マフェオか。ちなみに、ファインセーブを見せたウエスカのアンドレス・フェルナンデスは、開幕直前にビジャレアルから移籍したGKだ。主題は、エメリ新体制への査定になっている。

 久保と岡崎、日本人2人についての記述は限定的だった。事実、勝敗を決するプレーは見せていない。

 しかし、彼らは"明るい兆し"を見せている――。

リーガ開幕戦、ウエスカ戦の77分から出場した久保建英(ビジャレアル)リーガ開幕戦、ウエスカ戦の77分から出場した久保建英(ビジャレアル) まず、久保は77分からの途中出場だった。パコ・アルカセルとの交代で、トップ下でプレー。同点の場面で、勝利の切り札としての投入だった。その点では満足な成果は残せていない。

 マジョルカ時代以上に、敵の警戒度が上がっているのだろう。久保がドリブルで加速する前に、力づくでも止める、という気配が漂った。事実、その突破は反則まがいのチャージに何度も止められていた。終了間際、久保は無理に割って入ろうとしたところで強引にボールを奪われ、カウンターを浴びるシーンもあった。途中から試合に入る難しさもあっただろう。

 しかし、いい兆候もあった。

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