久保建英のドリブルは初速がすごい。開幕戦でもDFをひざまずかせるか (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 ビジャレアルが挙げた2得点とも、奪い返す契機を作り、戦術的に適応する姿を見せていた。また、中盤に落ちてテンポを作り、サイドに流れてスペースを作り、盛んにポジションを交換するなど、神出鬼没な動きで指揮官の要求に応えている。

 久保にはシーズンを通じて、「攻撃の主力」となることが求められるだろう。

 プレシーズンでは右サイド、トップ下、左サイドで起用されている。どのゾーンでも、高い技術と判断の良さで質の高いプレーができる。トップ下が主戦場になる公算は高いが......。開幕戦を含めて、序盤戦は左サイド、もしくは交代の切り札からのスタートになるかもしれない。
 
 マジョルカ時代に主戦場にしてきた右サイドは、ナイジェリア代表サムエル・チュクウェゼがポジションを確保している。2トップの場合、昨シーズンのスペイン人得点王ジェラール・モレノ、チーム史上最高額の移籍金で獲得した元バルサFWパコ・アルカセルは欠かせない。左サイドだけが、モイ・ゴメス、アレックス・バエナが台頭するものの、確定はしていない状況だ。

 そこで、久保は左サイドで起用される可能性が高いと言われているのだ。ただし、左サイドと言っても、ポジションを固定せず、流動的にボールを受け、飛び出すことになるだろう。事実、プレシーズンでもポジション交換しながらプレー。左からカットインしてのシュートは、左利きだけに少し不自由になるが、縦に切り込んでのシュートやクロスも大きな武器だ。

 久保は独特のテンポでディフェンスの間合いを破ることができる選手であり、それは場所を問わない。

「練習で、タケ(久保建英)と間合いで勝負したことがあって」

 FC東京時代、久保との対峙した時のことを、日本代表MF橋本拳人(ロストフ)は振り返っている。

「相手が自分の間合いに入ってきたら、仕留める自信は持っているんですが、一度、完全に縦と読んで、そこにタケを誘い込んだ時、縦に一気に運ばれてから前に入られたんです。感覚的にキュッという感じ。他の選手にそんな入られ方をしたことはないし、タケも『拳人君の間合いに入ったら、無理』と言っていたのですが、あれは衝撃でした」

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