久保建英のドリブルは初速がすごい。開幕戦でもDFをひざまずかせるか

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

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 久保建英(ビジャレアル)は、順調にチームにフィットしつつある。

 直近のレバンテ戦では、トップ下で先発。中盤からパスを引き出し、前線の選手と連係し、何度もチャンスに絡んでいた。後半途中からは左サイドでプレーし、65分には敵陣でダニエル・パレホが奪い返したボールを受け、猛然とペナルティエリア内に入って左足でシュート。後ろから手でつかまれており、VARが適用される公式戦では、PKになっていた可能性が高い。ゴール前に入る鋭さとシュートの精度は非凡だ。

プレシーズンマッチ最終戦、レバンテ戦にフル出場した久保建英(ビジャレアル)プレシーズンマッチ最終戦、レバンテ戦にフル出場した久保建英(ビジャレアル) 久保加入の効果は、市場にも表れている。

「久保のおかげで、SNSでビジャレアルの関心が飛躍的に高まっている。マーケティングで恩恵を受けるだろう」

 スペイン大手スポーツ紙『アス』は、久保効果をそう伝えている。2020-21シーズン、ビジャレアルで久保は何を求められるのか?

 チームはプレシーズン、5戦して2勝3敗と負け越している。失点が続いて勝ち切れず、勝利したのも2部のカルタヘナと1軍半だったレアル・ソシエダのみで、数字的には懸念がある。左サイドバックのアルベルト・モレノが膝のケガで約半年の戦線離脱になったのも痛手だ。

 ただ、プレー内容は充実しつつあり、試合ごとにリズムは上がっている。

「プレシーズン序盤は、体力的に90分間戦えない選手が多かったが、いい取り組みができ、楽観的に捉えている。システムは、我々のプレーモデルの範疇で個人のキャラクターをうまく適応させることになる。4-4-2を中心に、4-2-3-1、限定的に4-1-4-1にもなる形だ」

 ビジャレアルのウナイ・エメリ監督は、そう説明している。敵や味方の状況に合わせ、選手を起用する采配に長ける指揮官は、すでにリトリート、プレッシング、トランジションなど基本戦術を浸透させつつある。強度の高い攻撃を仕掛け、奪い返された後も、一斉に前からはめ込み、相手のミスを誘発し、したたかに得点を決めている。

 レアル・ソシエダ戦では、久保がプレッシングの先鋒となっていた。

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