2020.09.11

バイエルンで無双のチアゴ・アルカンタラ。クセが強いプレーが魅力的

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by AFLO

 チアゴのテクニックは、けっこうクセが強い。インサイドキックは独特で、外から内へカットするような蹴り方をする。足先が外を向いたいわゆるガニ股なのと関係があるのかもしれない。

 急角度で浮上していくチップキックも十八番だ。山なりというより、真上に上昇していくような軌道で、FKではこの特異なキックで壁を越し、壁の裏へ走りこんだ味方にボレーシュートを狙わせている。

 止め方、蹴り方、運び方のすべてがパーフェクトなだけでなく、チアゴらしいアクセントが入っている。本人にとってはそれが自然なのだろうが、1つ1つのプレーにいちいち「どうだ、うまいだろう」という誇示が入っているのが面白い。また、それがチアゴらしさで魅力なのだと思う。

 パスワークやポジショニングでのクレバーなところは、いかにもバルサのカンテラ育ちだ。だが、それに収まらないクセと意外性がある。そこはブラジル人の血なのかもしれない。

 さらにドイツの勤勉さと力強さが加わった。現在のチアゴには、ブラジル、スペイン、ドイツのブレンドという無敵感が漂っている。

 バルサ時代は「シャビ+イニエスタ」とも言われていた。中盤を仕切るシャビのゲームメーク、シャビより1つ前の位置で10番的なプレーのイニエスタ、その両方の才能を兼ねているのがチアゴとの評価だった。

 今、チアゴのポジションがシャビでもイニエスタでもなく、セルヒオ・ブスケツになったのは意外だが、シャビ+イニエスタ+ブスケツは、バルサのコーチたちも考えなかった理想のブレンドなのかもしれない。

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