全世界注目のメッシの去就。残るも地獄、去るも地獄で移籍の可能性も (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Reuters/AFLO

 クラブは、ピケ、セルヒオ・ブスケッツ、ジョルディ・アルバ、ルイス・スアレス、イヴァン・ラキティッチなど、30歳以上のベテランを"戦力外リスト"に載せている。この情報のリークは、長年クラブのために戦ってきた選手に対して礼を欠くものだった。スアレスが、「何かあるなら直接言うべき」と遺憾の意を表明したのも当然だ。

 クーマンは強権を求める指揮官で、容赦なく功労者も切り捨てる方向だろう。かつてのルイス・ファン・ハールのように、バルサのオランダ化を推進する可能性もある。オランダ代表として率いた経験を活かし、すでにドニー・ファン・デベーク(アヤックス)、メンフィス・デパイ(リヨン)、ジョルジニオ・ワイナルドゥム(リバプール)、マルテン・デローン(アタランタ)、ステファン・ベルフバイン(トッテナム)、ドニエル・マレン(PSV)などに接触したと言われる。

 33歳になるメッシにとっては、「外堀を埋められていく」という感覚だろう。残留したとしても、"終活"のような状態に追い込まれる可能性もある。それはバルサの屋台骨だった選手のプライドが許さない。

 となると、やはり移籍はひとつの選択肢として残る。

 巷で有力視されるのは、イングランド、プレミアリーグのマンチェスター・シティである。かつての師であるジョゼップ・グアルディオラが監督を務め、スタッフにも元バルサの関係者が少なくない。プレースタイルもかつてのバルサに近く、資金力も豊富。英国内では、「なんとしてもCL王者にという野心でチームとメッシは共通。メッシのゴーサインで本格交渉へ」などと報道されている。

 フランスのパリ・サンジェルマンも、メッシの友人であるネイマールを窓口に下交渉を始めたと言われる。キリアン・エムバペを含めた3トップは、たしかに夢がある。

 伏兵はイタリアのインテルだろう。中国人オーナーはセリエA史上最高(クリスティアーノ・ロナウド以上)の年俸を準備。すでに移籍金2億6000万ユーロ(約310億円)を提示したと言われ、金庫が枯渇し、補強もままならないバルサの気持ちをくすぐっている。

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