欧州サッカーに地殻変動。ハイレベル&不要な選手がはっきりしたCL (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by UEFA/Panoramic/AFLO

 クラブ的には、レアル・マドリードが横綱で、リバプール、バルセロナが大関、バイエルン、アトレティコ・マドリード、ユベントス、PSG、マンチェスター・シティが関脇クラス、チェルシー、ドルトムント、トッテナム・ホットスパーが小結クラスという並びになる。

 もちろんこれは私的な見解になるが、この伝で言うと、今季、準々決勝でアトレティコを破りベスト4入りしたライプツィヒ、マンチェスター・シティを破りベスト4入りしたリヨン、さらにはCL初出場にしてベスト8入りしたアタランタなどは、平幕もいいところだ。

 トップと下位との差が明確に開いていたのが、このところのCLの傾向だった。番狂わせは発生しにくい状態にあった。グループリーグは毎度、全8組中6組程度が無風区。ベスト8以降に進出するチームは、シーズン前からあらかた予想できる状態にあった。こう言ってはなんだが、そこがCLの一番の問題点だった。

 それが崩れたのが今季だった。そこに新鮮味が感じられた。

 ベスト4に残ったのはドイツ勢2チーム(バイエルンとライプツィヒ)とフランス勢2チーム(PSGとリヨン)。現在リーグランキング1位のスペインと同2位のイングランド以外のチームがベスト4を占めたのは、ユベントスとアヤックスがローマのオリンピコで決勝を戦った1995-96シーズンまで遡らなければならない。

 スペインとイングランドがランキング1位と2位の関係を築くようになった2004年以降の決勝進出チームを見ると、スペイン勢とイングランド勢が絡まなかったのは3回(2003-04のポルト対モナコ、2009-10のインテル対バイエルン、2012-13のバイエルン対ドルトムント)しかない。それ以外はすべて、スペイン勢かイングランド勢のどちらかが決勝のカードに名を連ねていた。

 今季の特殊性はスペイン、イングランドの2強が崩れたことにある。バルサがバイエルンに2-8で大敗した試合はそれを象徴する。

 ちなみにドイツ勢対フランス勢の決勝対決は、CLになってから(1992-93以降)初の出来事で、チャンピオンズカップ時代の1975-76シーズン(バイエルン対サンテティエンヌ)まで遡る。

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