CL決勝バイエルン優位の理由。ネイマールのメッシ的動きが問題に (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Reuters/AFLO

 イメージが重なるのは、準々決勝でバイエルンに2-8と歴史的大敗を喫したバルセロナだ。ネイマールの動き方はバルサにおけるメッシ的だ。ある法則、規律に基づいた動きというより、本能的な動きだ。スター選手にありがちな勝手な振る舞いと言ってもいい。

 これが問題になるのは、相手ボールに転じた瞬間だ。左右、中央と3つある攻撃のルートを、トップの3人がある程度、埋めていないと、相手の前進を容易に許すことになる。プレスの網が掛からない状態になる。相手にボールを奪われることを想定しながら攻めていない不用心さが、この瞬間、表面化することになる。

 2013-14シーズン、サントスからバルサにやってきたネイマールは、当初、ヘラルド・マルティーノ監督から、そのポジションについて口うるさく指摘されていた。3トップの左で出場したにもかかわらず、気がつけば、真ん中付近に進出。メッシ、ルイス・スアレスとポジションをダブらせていたからだ。攻守が切り替わった瞬間、相手の右SBに攻め上がりのチャンスを与えていた。

 チームナンバーワンのスター選手だったサントス時代、そしてブラジル代表のノリでプレーに及んだところ、厳しく否定されたという感じだ。しかし、1年経過すると、ネイマールのその癖はすっかり解消されていた。謙虚な姿が目に止まった。

 真ん中付近で立ち位置が重なったメッシとスアレスの関係も、スアレスの気遣いによって解消された。2014-15シーズンにバルサがCLで優勝したのは、3人のFWが左右、中央の3ポジションを的確にカバーしたことと深い関係にある。

 だが現在、ネイマールはブラジルからバルサにやってきた当時に戻っている。王様的な振る舞いが復活している。まさにメッシ的なのだけれど、肝心のプレーはメッシには及ばない。メッシ、そしてクリスティアーノ・ロナウドの全盛期を10とすれば8~9だ。バロンドールを複数回、受賞しそうなレベルにはまだ遠い。

 決勝戦、PSGはバイエルンのサイド攻撃を許しそうな気がしてならないのだ。

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