2020.08.21

ネイマールが特別な才能を発揮。プレッシャーを無効化する技術の勝利

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

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 CLのためにネイマールを獲得したPSGにとって、ようやく満足できるプレーぶりだったのではないか。紆余曲折はあったが、ついに持っている才能を存分に発揮するようになった。

 いかなる戦術もプレッシャーも無効化できる特別なテクニック。それを有するだけで相手のあらゆる努力を台無しにできる毒。そして莫大な予算を持つクラブだけが手にできる宝石。ネイマールはPSGを正当化してくれる。

 サッカーの歴史は、例外的なテクニックとプレッシャーの戦いをこれまでも繰り返してきた。ペレ、ディエゴ・マラドーナ、ジネディーヌ・ジダン、リオネル・メッシ...。その都度の結果は勝ったり負けたりだが、総合的にはテクニック側の圧勝と言っていいだろう。ネイマールは繰り返してきた歴史を再現したにすぎない。

 アタランタ、ライプツィヒの積み上げてきた努力、投入された知見、鍛え上げた体力は称賛に値する。ただ一方で、それを無効化するのは個人であることも忘れてはいけない。

 74年の西ドイツワールドカップ決勝(西ドイツ対オランダ)は、例外的なテクニックの持ち主が大舞台で敗北したわりと珍しい試合なのだが、オランダのヨハン・クライフを抑え込んだ西ドイツのベルティ・フォクツが、傑出した瞬発力の持ち主だったのは見逃せない。

 これは、特別なテクニックには対抗するには、特別なプレッシャーが必要で、例外的な才能には別の種類の例外的才能をあてるしかないことを示唆しているのではないだろうか。

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