2020.08.18

久保建英との相性は? 庶民的すぎる
ビジャレアル本拠地とCLベスト4

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 アンフィールドでソフィア戦を観戦。リバプールの本大会出場を確認した翌朝、エバートンサポーターとともに筆者がビジャレアルを目指した理由は、CLの予備予選で展開されているマージーサイド・ダービー(リバプール対エバートン)への好奇心からだった。

 ビジャレアル市の人口はわずか約5万人。ホテルからタクシーが来ないので、エル・マドリガル(現在の名称はエスタディオ・デ・ラ・セラミカ)までおよそ3キロの道のりを徒歩で向かったが、その間、特に目を惹くものはなにもない。そもそも街に色気がない。小さいが故のラブリーさもない。スタジアムを目指す道の周辺には工場と倉庫ばかりが立ち並んでいた。

 その正体がセラミック工場だとは、次回の訪問で知らされたことだが、そこには「スペインの夏」からイメージする華やかさ、賑やかさからはほど遠い、うら寂しい世界が広がっていた。

 ビジャレアルのサポーターの多くもセラミック工場で働く人たちだという。次回の訪問の際にレクチャーしてくれたのは、ビジャレアルの応援団長さんで、婦人会の会長さんのような貫禄十分の女性だった。ビジャレアルは、スペインリーグで女性サポーターの占める率が最も高いクラブだと胸を張った。

 エル・マドリガルは、住宅地の真ん中に紛れるように建っている。全景を拝みにくいスタジアムだ。相当近づかないと、スタジアムの位置を特定することは難しい。収容人員はわずか2万2000人(当時)だ。

 この連載では、町の総人口に対する観客席の占める割合が高い街としてセビージャとグラスゴーを挙げている。その25~26%という数字の高さに驚いたものだが、エル・マドリガルの座席は、ビジャレアルの人口の約44%にも達する。たかが2万2000人。されど2万2000人だ。サッカー熱のほどが偲ばれる数値である。

 敷地面積の狭さも手伝うのだろう。スタンドは、とにかく急傾斜だ。3階にある記者席からは、まさにピッチをのぞき込む感じになる。とはいえ、今日的なスタジアムというわけではない。座席はチームカラーであるイエローとブルーで塗り分けられているが、どこか安っぽい。南米のローカルなスタジアムを彷彿とさせる場末感が漂う。CL級にはほど遠い。エバートンの選手たちは、ここで負けたら格好悪いと思ったに違いない。