2020.08.15

久保建英とビジャレアル監督の共通点。
スペイン代表3人との連携に眼福の予感

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutshu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 左利き特有の天才肌のプレーを好む一方、理論派で、ユース年代のころから戦術ノートを欠かさずつけていた。そこから編み出した論理は監督顔負け。チームメイトへの指示が予言的だっただけに、「サッカー博士」のような存在になったという。

 しかし、エメリはレアル・ソシエダのトップチームではほとんど出場機会に恵まれなかった。スペイン国王杯を含めて6試合に出場、1得点。同じポジションに左利きのスペイン代表フランシスコ・デ・ペドロがいたことで、定着はできなかった。それが1部リーグでの記録であり、その後は2部、もしくは3部のクラブが主戦場になった。飛躍できなかったのは、たび重なるケガの影響もあったという。

 その一方、現役時代から監督ライセンスを最高位まで取得し、33歳で膝の大ケガと同時に、所属チームで監督業をスタートさせている。

「こうやったら、選手の力をもっと引き出せるのに」

 キャリアの後半は、そればかり考えるようになっていたという。現役時代から戦術論はほとんど無敵。チームメイトたちも意見を求めたという。そして深い見識と洞察によって、監督としての道を切り開いている。ロルカを2部、アルメリアを1部に上げ、セビージャではヨーロッパリーグ3連覇を遂げた。パリ・サンジェルマンではリーグアンを制し、アーセナルでもヨーロッパリーグ決勝に進出するなど、欧州有数の指揮官となった。

 エメリは久保の能力や特性を正しく評価できるはずだ。

「ビジャレアルは最高の選択肢でした」

 久保は、入団会見でスペイン語の質問に答えている。

「ポジションはどこであれ、プレーする準備があります。監督や数人の選手とも話すことができました。まずは現場でコミュニケーションを重ねながら、やっていきたいと思っています」

 エメリは同じ左利きのアタッカーとして、久保の力量を最大限に生かす答えを導き出せるか。少なくとも、選手同士を組み合わせる采配は傑出している。スペイン代表の3人、FWパコ・アルカセル、DFラウール・アルビオル、そして獲得が決定しているMFダニエル・パレホと久保の組み合わせは、極上の香りが漂う。

 久保が戦術の枠から外れるようなプレーをした時――。名将エメリの表情が見ものである。

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