久保建英、ビジャレアルでの起用法は?新指揮官エメリ監督が求める役割

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

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 久保建英(19歳)の移籍を巡る"狂騒"の幕がようやく閉じた。

 日々、さまざまな噂が上がっていたが、当初から行く先はスペイン国内に絞られていた。「ヨーロッパカップに出場する、もしくは出場が狙えるチーム。年俸+レンタル料で500万ユーロ(約6億円)」というのが目安だった。その点で、新天地に決まったビジャレアルは"想定内のクラブ"と言えるかもしれない。

ビジャレアルへの移籍が正式に発表された久保建英ビジャレアルへの移籍が正式に発表された久保建英 2019-20シーズン、ビジャレアルは5位でヨーロッパリーグ出場権を獲得している。人口約5万人の小さな町のクラブだが、世界的セラミック産業に支えられている。かつてはフアン・ロマン・リケルメを擁し、チャンピオンズリーグでベスト4に勝ち進んだこともある、国内の有力クラブのひとつだ。

「ウナイ・エメリ監督によって、久保の入団が急転直下で決まった」

 スペイン大手スポーツ紙『アス』は、入団の経緯をそう説明している。

 当初、クラブはレアル・マドリードと、攻撃的MFオスカル・ロドリゲスの期限付き移籍で獲得交渉を重ねていた。レジェンドのひとりである元スペイン代表MFサンティ・カソルラが退団(契約満了により、シャビ・エルナンデス監督が率いるカタールのアル・サッドへ移籍)。代わるべき人材が必要になっていたのだ。

 しかし、新たにビジャレアルを率いることになったエメリが、同じポジションの久保を選択したという。新指揮官は久保をどのように使うのか?

 エメリは、稀代の戦術家として知られる。

 選手としては大成しなかったが、現役時代から理論派で知られ、膝の大けがでスパイクを脱ぐと同時に、2004年に33歳で監督業をスタート。当時所属していたロルカをいきなり2部に、さらにアルメリアを1部に導き、一躍脚光を浴びる。

 2008年から強豪バレンシアを率いて欧州を舞台に戦い、2013年からはセビージャの指揮を執り、3シーズン連続ヨーロッパリーグ優勝で名を高めた。パリ・サンジェルマン、アーセナルでも実績を積み、今や欧州でも有数の監督だ。

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