メッシが同じスーパープレーを何度も決められる不思議を解明する (2ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by AFLO

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 メッシはシュートする雰囲気を出しているだけで(少しステップの幅を変えているが)、キックフェイントらしきものもしていないのに、DFはシュートを予期して次々に体を投げ出してしまうのだ。これも常に蹴れる場所にボールが「ある」からだ。止める時も運ぶ時も、メッシとボールの関係性が一定で、常に「蹴る」ポイントにある。つまり、すべて「ある」状態のままプレーしているわけだ。

<滑るような走り方>

 止まっていても動いていても、メッシとボールの関係はほぼ一定。どの瞬間でも、何でもできる状態にある。言葉にすれば簡単だが、それをあのスピードでできる選手はほとんどいないだろう。

 風間氏はボールがメッシから離れない要因は、走り方にあるのではないかと言っていた。

「ほかの選手と比べると、メッシは走っている時に靴底が見えていない。後方への蹴り出しで推進力を得る陸上競技とは違う走り方」

 モモもあまり上げないし、後方への蹴り出しも少ない。たんに速く走るなら、陸上競技の走り方は理にかなっているはずだが、ボールと共に走るのはまた別なのかもしれない。

 メッシは滑るように走っている。交互に足を前に出すのが速く、常にボールの側に足がある。ボールなしならメッシより速い選手はいるだろうが、ボールと一緒に走るならメッシはおそらく最速の部類に違いない。

 メッシのプレー集を見ると、たくさんのゴールシーンがあるが、ほとんどリプレーのように同じような得点シーンが繰り返されている。その点で、同じアルゼンチンの天才でもディエゴ・マラドーナが何をするかわからないのに対して、メッシはわかっていても止められない選手といえる。

 ドリブルで抜く時もほぼ毎回同じ。複雑なフェイントはなく、右足を一歩踏み出して左足のアウトサイドで運んで外すことが多い。相手がそれに反応してくると、見透かしたように足の間にボールを通すか、普通に右側へ運んで外してしまう。

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