冨安健洋「ジョーカー」、吉田麻也「先生」。
守備の国イタリアで高評価

  • 利根川晶子●文 text by Tonegawa Akiko
  • photo by AFP/AFLO

 吉田本人によると、シーズン最後にイタリア語でインタビューを受けることを目標に勉強していたという。ロックダウンの期間には、地元のコメディアンを先生にジェノバ弁のレッスンをしている動画を公開もしている。やはりイタリア語が流ちょうな長友佑都からは「吉田先生」の称号をもらった。

 このインタビューで、吉田は今後の去就についても語っていた。

「今は何とも言えないが、もう1年ここでプレーする可能性はある。チームにとっても自分にとっても、長いタームの契約は有利だ。とにかくこの休暇の間にチームと話し合いをしたい」

 吉田はサウサンプトンから期限付きでサンプドリアにレンタルされていた。サウサンプトンの契約は今季で満了(本来は6月30日で満了だが、今シーズンは特例でプレーしているリーグが終了するまでに変更された)。吉田のレンタルにはオプションがついていて、10試合プレーしたところでその後の決定権が選手に与えられる。吉田はすでに14試合サンプドリアでプレーしているので、本人が希望すれば2021年6月まで契約延長ができる。

 年俸150万ユーロ(約1億8000万円)についても話し合いがされているようだ。ただ、サンプドリア側は吉田に年俸100万ユーロ(約1億2000万円)の2年契約をオファーしており、今後さらに話し合いが必要だろう。また、今シーズンの活躍を見て、トルコやフランス、UAE(アラブ首長国連邦)からもオファーが来ていると言われている。

 実は吉田はイタリアのサポーターの前でプレーしたことがない。彼がサンプドリアでデビューした時はすでに無観客試合になっており、再開してもスタンドはシーズン終了まで無観客のままだった。ドリアーノとしてはぜひ彼のプレーを生で見たいことだろう。

 セリエAの新シーズンは9月19日から始まる。今年は地元の練習場で8月20日前後から始動するチームが多いようだ。来季こそ、ノーマルな状態でプレーする2人を見たいものだ。




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