冨安健洋「ジョーカー」、吉田麻也「先生」。守備の国イタリアで高評価 (2ページ目)

  • 利根川晶子●文 text by Tonegawa Akiko
  • photo by AFP/AFLO

 ボローニャは冨安を、シント・トロインデンにいたころから数カ月にわたり追い続け、説得してチームに連れてきた。この賭けにボローニャは勝った。その証拠に、多くのチームが今は冨安を欲しがっている。この5月にはローマがオファーをしてきたが、ボローニャは断っている。

「彼の適正価格がいったいいくらなのか、まだ誰にもわからない」と、ボローニャのテクニカル・ディレクター、ヴァルテル・サバティーニは言う。

 その評価額は実際うなぎのぼりだ。1000万ユーロ(約12億円)で移籍した冨安には、今や2000万ユーロ(約24億円)以上の値がつくと見られている。パリ・サンジェルマンのコラン・ダグバ、アーセナルのエインズリー・ナイルズ、アヤックスのノゼア・マズラウィ、マンチェスター・ユナイテッドのディアゴ・ダロトに匹敵する評価の上がり方だと報じるメディアもある。ローマ以外にもバイエルン、レバークーゼン、インテル、そして最新の情報では9連覇を果たしたばかりのユベントスが、彼に2500万ユーロ(約30億円)を提示したという。

 しかし、ボローニャは今のところ一貫して、売らない方向でいるようだ。「冨安はリッカルド・オルソリーニとともにアンタッチャブルだ」と、前出のサバティーニは言う。「冨安は来シーズンのボローニャのプロジェクトに欠かせない選手である」とも。

 監督のミハイロビッチも、最終戦の後の記者会見で、来シーズンの構想に富安がいることを表明しており、「新シーズンからは彼を本来のCBで使う予定だ」と公言した。

 冨安自身もボローニャというチームに愛着を持っていることを、イタリアの有名スポーツ紙『ガゼッタ・デッロ・スポルト』のインタビューで述べている。

「最初の数カ月は本当に大変だった。すぐに溶け込むことができず、戦術に苦労し、必死で練習した。でもチームや周りが助けてくれたおかげで、すべてはうまくいったし、たぶん人間的にも成長できたと思う。サイドバックというポジションも、自分のもののように思えてきた。でももちろんセンターでも問題ない」

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