ネイマールが本来の姿を取り戻せた要因とは。絶好調でパリSG残留濃厚

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by AFLO

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「このような試合でプレーするのは簡単ではない。今日は我々にとって、とてもタフな試合だった。それでも、決勝戦で勝つことができた。それこそが最も重要なことだ」

 2019−2020フランスカップ決勝のサンテティエンヌ戦を1−0の勝利で終え、パリ・サンジェルマン(PSG)のトーマス・トゥヘル監督は、安堵のこもった声でそう振り返った。

フランスカップ決勝でゴールを決めて大喜びするネイマールフランスカップ決勝でゴールを決めて大喜びするネイマール ほかの主要リーグがシーズンを再開する一方、新型コロナウイルスの影響によるリーグ戦の打ち切り決定と、それによる約4カ月半もの空白期間は、欧州の頂点を目指すPSGにとってはネガティブな時間でしかなかった。

 そんななか、就任2年目にして初めて手にしたフランスカップのタイトルは、指揮官にとってひとつのタイトル以上の価値があったはずだ。しかも、この試合はトゥヘル監督の就任100試合目となるメモリアルマッチ。節目となるその試合でクラブ通算13回目の優勝を飾ったのだから、もろ手を挙げて喜んでもおかしくはなかった。

 しかしトゥヘル監督は、表情を曇らせながらこうも述べた。

「状況は複雑で、代償は高すぎる。決して手放しでは喜べない......」

 歓喜に水を差した原因は、前半26分にキリアン・エムバペがサンテティエンヌのベテランDFロイク・ペランのハードタックルを受け、負傷交代を強いられたことにある。

 不可抗力ゆえ、キャリア最後の試合で退場処分を受けたキャプテンのペランにとっても悲劇ではある。だが、足首を負傷したエムバペが約3週間の離脱となったことは、それまで慎重かつ順調に準備を進めてきたPSGにとって、悪夢以外の何物でもなかった。

 これにより、PSGは若きエースを欠いたまま、最大の目標である8月12日のチャンピオンズリーグ(CL)準々決勝のアタランタ戦を迎える公算が高まった。

 欧州屈指のアタッキングサッカーで今季CLの台風の目となっているアタランタは、リーグ戦再開後も無敗街道を快走中。チーム最大の武器である"飛び道具"を失ったPSGは、予測不能な一発勝負を無事に乗り越えることができるのか。

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