メッシとも協調。バルサでもポジションをつかんだビダルの生命力 (2ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by AFLO

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 ただ、これまでのバルサにまったくいなかったタイプでもない。

 最近では、ビダルと似たパウリーニョ(ブラジル)がプレーしていた。ロナウジーニョ(ブラジル)が移籍してきたシーズンには、エドガー・ダービッツ(オランダ)がいた。いずれもカンテラ育ちではなく、外部からの補強選手だが、必要だから獲ってきたわけで、バルサはバルサらしくない選手を必要とする場合があるということだ。

<変形4-3-3で見つけた居場所>

 今季のビダルのポジションは、主に4-3-3の右インテリオールである。かつてのシャビのポジションだ。もちろん、ビダルにシャビのようなプレーが求められているわけではない。ビダルが必要とされているのは、バルサの4-3-3がすでにかつてと同じではなくなっているからだ。

 4-3-3が変質した原因は、リオネル・メッシ(アルゼンチン)にある。

 メッシの能力を最大限に活かすこと。これが歴代監督の課題になっている。ジョゼップ・グアルディオラ監督は、右ウイングだったメッシをセンターフォワード(CF)にコンバートして「偽9番」(CFから中盤に下りてきてプレーする役割)としてブレイクさせた。

 やがてルイス・スアレス(ウルグアイ)が来たので、メッシは元の右ウイングに戻ったが、こちらは言わば「偽7番」(ウイングから中盤に入ってプレーする役割)である。

 そしてエルネスト・バルベルデ監督はついにメッシ、スアレスの2トップによる4-4-2へ踏み切った。メッシの起用法としては最もシンプルで、システムとしても歪ではない。

「偽7番」では、メッシの守備負担を軽減すると同時に、右サイドで幅をとる役割を周囲が請け負う必要があり、右サイドバック(SB)の消耗は明らかだった。最初からトップに置いておけば、シンプルにMFとDFが4-4のラインで守備をすればいいので、特定のポジションが疲弊することも避けられる。

 だが結局、今季は元の「偽7番」に戻している。伝統の4-3-3を維持したいという思いもあっただろうが、単純に消耗しない選手=ビダルがいたからという理由もあるに違いない。

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