岡崎慎司への日本とスペインの評価の違い。「泥臭い」「献身的」ではない (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 今シーズン、岡崎はイングランドプレミアリーグのレスターからマラガに移籍したが、開幕後に登録不可能であることが判明した。緊急的に、ウエスカに再び移籍することになった。そのハンデは想像以上だったと言えるだろう。プレシーズンを過ごしたチームはひとつの形を作っているはずで、外から突然やって来た選手に対する抵抗もある。

 ところが、岡崎はそこに素早く適応したのだ。

 利発さによる適応力。それが、岡崎がスペイン1年目で成功した理由と言えるだろう。

 今シーズンの岡崎のゴールは、クロスに合わせてのヘディングシュートやボレーがほとんどだった。味方とコミュニケーションを取って、そこにボールを呼び込めていた。来たボールをヒットする技術も高いが、それ以上に"味方に愛される"という状況を作り出せていたのだ。

「岡崎のプレーのクオリティは高い」

 ウエスカの選手たちがそう言って信頼するのは、必然だろう。コンビネーションプレーは、戦いを続ける中で最大限に高まっていた。その点、岡崎はスペインサッカー向きだったのかもしれない。

「今シーズン、岡崎の存在は1部昇格において決定的だった。ゴールで貢献しただけではない。静かだが、計り知れない仕事をした」

 スペイン大手スポーツ紙『マルカ』は、岡崎の仕事ぶりを絶賛している。ボールを引き出し、スペースを作り、プレッシングを行ない、リトリートした時の先手となった。味方を生かし、自らも生きる、戦術的役割の精度は特筆に値した。

 岡崎は、リーガ1部の選手になるに値する戦いをやってのけたと言えるだろう。

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