即効性がすごい。ブルーノ・フェルナンデスがマンUの特効薬である理由 (2ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

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 ブルーノ・フェルナンデスのケースはカントナと似ていて、もともと個人技に優れていた周囲のアタッカーを触発して好循環をつくっている。決め手はコミットする能力だ。

 ブルーノ・フェルナンデスは、技術レベルの高さだけでなく、運動量がすばらしい。単純に守備力があり、しかも精力的に守るので、彼が加入してのマイナスが全くない。大物選手が加入すると、守備面の負担を周囲が軽減してあげる必要が出てきて、チームのバランスが一時的に崩れることがある。だが、ブルーノ・フェルナンデスの場合はそれが全くなかった。

 攻撃面でも運動量を生かして、さまざまな局面に顔を出す。シュートも打つし、アシストもある。少し下りてポール・ポグバ(フランス)と連係しながら組み立てを整えるプレーもある。あらゆる場面に顔を出して解決していく仕事量の多さは、チーム全体の機能をひとりで格上げする効果があった。介入する分野が広いので、それだけ影響力が大きくなるわけだ。

<芯を食ったキック>

 技術、戦術眼、運動量でチームを変えたスーパー補強としては、古くはアルフレッド・ディ・ステファノの例がある。1953年にディ・ステファノが来てからのレアル・マドリードは、一躍ヨーロッパ最強クラブにのし上がった。彼がいなければチャンピオンズカップ(現チャンピオンズリーグ)5連覇もなかったし、現在のレアルもなかっただろう。

 ディ・ステファノがレアルに来たのは27歳、ブルーノ・フェルナンデスは現在25歳。選手として脂の乗りきった時期での移籍といえる。

 点が取れてアシストができて、守備面でも貢献できる。万能のブルーノ・フェルナンデスだが、得点力を伸ばしたのはスポルティング時代だったようだ。ポルトガルリーグの年間MVPを2年連続で受賞している。

 右足のシュートのコントロールがすばらしい。もっと強烈なシュートを打つ選手はほかにもいるが、狙ったところにピシャリと命中させているのが得点力の源だろう。芯を食ったキックなので、無回転気味に飛んでいる。中心を外さないキックができるので、逆に中心を外すこともできる。FKでは縦回転をかけて壁を越して落とすシュートを打っている。

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