今季12得点のDF。闘将セルヒオ・ラモスの影響力はピッチ外でもデカい (2ページ目)

  • 高橋智行●文 text by Takahashi Tomoyuki
  • photo by AFLO

 セルヒオ・ラモスは2005年夏、19歳でセビージャから移籍金2700万ユーロ(約32億4000万円)でレアルに入団。その金額は当時、その年齢の移籍金最高額だった。またフロレンティーノ・ペレス会長の第1期時代に入団した唯一のスペイン人選手でもあり、今季15シーズン目をすごしている。

 その間、クラブではリーガ4回、チャピオンズリーグ(CL)4回など、合計21タイトルを獲得。スペイン代表ではワールドカップ1回、欧州選手権2回に優勝している。個人では、FIFA/FIFProワールドイレブンに10回選出された。

 セルヒオ・ラモス最大の魅力とも言える「重圧を跳ね除ける不屈の精神力」をとくに体現したのは、14年にリスボンで行なわれた2013-14シーズンのCL決勝だった。対戦相手は同じ町のライバル、アトレティコ・マドリード。

 この時のレアルは、2001-02シーズンの優勝を最後に、11シーズンCLのタイトルから遠ざかっていた。マドリディスタの間では長らく"デシマ(10回目の欧州制覇)" が悲願となり、スローガンに掲げられていた。

 迎えた決勝戦、後半アディショナルタイムに突入し、敗戦濃厚の空気を変えたのはセルヒオ・ラモスの93分の同点ゴールだった。これにより試合を振り出しに戻したレアルは、延長戦の末4-1で勝利。前人未到のデシマを成し遂げた。"闘将"の決してあきらめない気持ちに、マドリードの町が揺れた瞬間となった。

 その勝負強さは2年後の16年、再びマドリードダービーとなったミラノでのCL決勝でも発揮され、ラモスはチームの先制点を記録した。その後1-1でPK戦に突入した試合は、プレッシャーのかかる4番目のキッカーとしてセルヒオ・ラモスが決め、最後はロナウドも決めてクラブ史上11回目となるCL優勝を飾った。

 順風満帆と思われるセルヒオ・ラモスのキャリアではあるが、大きな挫折も経験している。

 2010-11シーズン、自身初となるCLの準決勝で、宿敵バルサに敗退。翌2011-12シーズンのCL準決勝でも、バイエルン相手にPK戦までもつれ、4番手のキッカーを務めたが失敗。再び敗退を味わった。どうしても越えられない準決勝の壁が立ちふさがるシーズンを、2年連続ですごしている。

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