久保建英は再開後の残留争いで神がかった活躍。変速日程リーガの実態

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

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 今年3月、コロナ禍によって中断を余儀なくされたリーガ・エスパニョーラ。3カ月ぶりに再開されると、週2試合のハードスケジュールで現在までに36節が終了。あっという間に優勝、チャンピオンズリーグ(CL)・ヨーロッパリーグ(EL)出場権、残留、降格などが決まりつつある。

 再開後、各チームの明暗は分かれている。コロナ禍による変則的なリーガの実態とは――。

再開後は9試合連続で先発出場中の久保建英(マジョルカ)再開後は9試合連続で先発出場中の久保建英(マジョルカ) 最もアドバンテージを得ているチームは、レアル・マドリードと言えるだろう。再開後は破竹の9連勝。再開前は2位だったが、首位のバルセロナを引きずり下ろし、残り2節で勝ち点差4と、優勝に王手をかけた。

 華やかなプレーをしているわけではない。アンカーに入るカゼミーロを中心に、ソリッドで効率的なサッカーで勝ち点を積み重ねている。カウンターの威力も抜群だ。

 単純に個人の力もあるだろう。サイドアタッカーだけでも、ヴィニシウス・ジュニオール、ロドリゴ・ゴエス、マルコ・アセンシオ、ガレス・ベイル、そしてエデン・アザールと一発で仕留められる選手を多数、擁している。「大軍に兵法なし」といったところか。

「全員が戦力だ」

 ジネディーヌ・ジダン監督は言う。事実、指揮官は自分に反旗を翻し、移籍を希望する選手でも、指揮下にある限りは起用。その姿勢が、チームに健全な競争と集中力を与えているのだ。

 同じく、6勝3分けで順位を6位から3位に上げているのが、ディエゴ・シメオネ監督が率いるアトレティコ・マドリードである。CL圏内までロケット浮上した。

 好調のロジックは、ジダン・マドリードと似ている。堅実な守りとカウンターの精度、そして指揮官の求心力だ。

「自粛生活の中でいい準備をできた。自宅でも、選手はフィジカルコンディションを作ってくれたと思う。選手たちと対話することで、やるべきプレーを見つけられた」

 シメオネは語るが、統率力で違いを出している。マルコス・ジョレンテは"闘将の申し子"と言える。

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