チェルシー対バルサ。老夫婦は
「これまで見た中で一番の試合」と言った

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiuama Shigeki
  • 赤木真二●写真 photo by Akagi Shinji

 チェルシーが再びCLの舞台に立ったのは、それから4シーズン後の2003-04シーズンになる。筆者がスタンフォード・ブリッジに出かけたのは、ロンドンダービーとなったその準々決勝対アーセナル戦だ。

 通算スコア3-2でチェルシー。スタンフォード・ブリッジで見たチェルシーの試合の中で、3番目に面白い試合だった。では、2番目はどの試合かと言えば、続いて行なわれた準決勝対モナコ戦になる。

 グループリーグをモナコと同組で戦い、敗退したPSVのフース・ヒディンク監督は、その時、こう言ったものだ。

「モナコはCLで優勝する力がある」

 実際、モナコは伏兵ぶりを発揮。準々決勝では優勝候補のレアル・マドリードを大逆転で下していた。監督はその5年前のCLではチェルシーのリーダーとしてプレーしていたディディエ・デシャン。因縁めいた試合となった。

 ルイ2世スタジアムで行なわれたモナコホームの第1戦は3-1でモナコ。スタンフォード・ブリッジに場所を移して行なわれた第2戦は、前半45分までチェルシーが2-0とリードした。

 合計スコア3-3。このまま終わればアウェーゴールルールでチェルシーの勝ち。ところが、チェルシーは前半のアディショナルタイムにモナコに1点を返され、さらに後半15分、フェルナンド・モリエンテスにこの試合の同点弾を叩き込まれてしまう。合計スコアは3-5。チェルシーはファイナリストになれなかった。

 チェルシーを下したモナコは、ゲルゼンキルヘンで行なわれた決勝でジョゼ・モウリーニョ監督率いるポルトと対戦した。勝ったのはポルト。翌シーズン、チェルシーが、デシャン監督率いるモナコに勝って欧州一になったモウリーニョを監督に招いた大きな理由のひとつかもしれない。

 スタンフォード・ブリッジの収容人員は4万1000人余り。この頃からチェルシーは、プラス2万人のスタンドがほしいというビッグクラブになっていった。しかし、スタジアムはいまもって増築も改築もされていない。新築の計画があったそうだが、立ち消えになったとのこと。立地のよさと小ささを売りにする、粋な都会的スタジアムのままでいる。

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