南野拓実がリバプールで初めて見せた得意技。短い時間で示した変化の兆し (2ページ目)

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke
  • photo by AFLO


 ペナルティエリア手前の位置で、このプレーを多用する傾向がある。相手DFにとっては危険なプレーであり、うかつに飛び込めない。南野の最大の持ち味だ」

 振り返ると、ザルツブルクの一員としてプレーしたチャンピオンズリーグ・グループステージのゲンク戦(2019年9月17日)でも、縦パスからのファーストタッチで敵のプレスを剥がし、FWアーリング・ハーランド(現ドルトムント)のゴールをアシスト。

 2018年9月2日のザルツブルク対アドミラ戦でも、味方のパスを受けるとクルリとターンしてマーカーをかわし、鮮やかにネットを揺らした。南野も、意識的に取り入れているのだろう。

 ブライトン戦の決定機はゲンク戦のプレーに似ていたが、シュートを打とうとしたところで相手DFの体当たりで体勢を崩した。ゴールまでの流れはできていただけに、シュートできなかったことは悔やまれる。プレミアリーグ特有の当たりの激しさに適応していく必要がある。

 その一方で、味方の選手が南野の動き出しに合わせて、パスを入れ始めているのはプラス材料だ。クラーク氏の言う「最大の持ち味」である「トラップ→前方に飛び出す」プレーが出たのは、リバプール移籍後、この試合が初めてのこと。チームメイトも、南野の特性を掴み始めている。

 リバプール界隈では献身的な守備や前方からのプレス、ハードワークなどに評価が集まっているが、最大のストロングポイントはペナルティエリア周辺での危険なプレーだろう。その回数をいかに増やしていくか。

 リバプールの残り試合は4。南野としてはこの4試合で、ゴールやアシストといった目に見える結果がほしい。実際、結果を残すことへのこだわりは、本人も口にしている。南野は以前、次のように語っていた。

「『この半年は様子を見ながら』みたいな雰囲気はあるかもしれないですけど、個人的にはチームでやっている以上、常にベストなものを目指す必要があると思う。僕の解釈だと、その答えは、やっぱり結果なので。常にそこを目指してやっています」

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