2020.07.07

同じ「国立競技場」でも日本とは大違い。羨ましかったユーロの舞台

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 赤木真二●写真 photo by Akagi Shinji

 キエフやグダニスクのスタジアムは、確かにモダンで上等な最新式スタジアムである。だが、筆者の印象では、ユーロ2012のナンバーワンスタジアムは断然、ワルシャワ国立競技場だった。

 何と言っても特筆すべきは、観客席の急な傾斜角だ。正確な度数は定かではないが、急傾斜か否かの分岐点になる35度は楽々クリアしている。

 この原稿を書くにあたり、当時、撮影した写真を眺めてみた。イタリアがドイツに2-1で競り勝ったユーロ2012準決勝の試合直後、2階席の記者席からピッチ上の様子を撮ったものだ。

 どのスタジアムを訪れても、ほぼ毎回、筆者はその眺めをカメラに収めている。他と比較しやすい立場にあると自認しているので、言わせてもらえば、その俯瞰の画像には、急傾斜のほどが鋭く描き出されていた。「ピッチを見下ろすこの急傾斜を、写真に収めておかなくては」と、シャッターを切ったことも思い出された。

 さらに連想したのは、カンプノウの記者席だ。その正面スタンドの最上階に設置されたゴンドラの中からピッチを見下ろす急角度の眺めである。サッカーの各種の概念が覆されたそのカンプノウの眺めに、ワルシャワは勝るとも劣らなかった。