久保建英、アトレティコ最強守備陣を翻弄。再開後の進化が止まらない (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

「アトレティコの選手たちを、まるで明日がないかのような心地にさせた」

 スペイン大手スポーツ紙『アス』の表現は、もはや詩的である。

 8分、久保は右サイドでボールを受けると、外側を全速力で走るポゾに対し、パスを出す。一度、相手に縦と見せ、瞬時に内側へ。何気なく"時を操る"ことで、ディフェンスのタイミングを崩し、完全に防御線を破った。

「難しいプレーを簡単にする」

 それが一流選手の条件だとスペインでは言われるが、久保はその領域に入っていた。

 10分、久保は逆サイドからの長いパスを受ける。信頼の証左だろう。対峙したマヌ・サンチェスを手玉に取るように中へ切り込み、ミドルレンジで左足を振る。GKの正面だったが、簡単にシュートまで持ち込んだ。

 体力、気力が充実しているのだろう。中に切り込んで、相手に囲まれて奪われそうになっても、ボールを失わない。その力強さに、ボールが集まる。何より、判断が明敏。最もプレッシャーを受けるゾーンにいながら、相手が嫌がる、ダメージを受けるプレーを次々に選択できるのだ。

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