2020.07.03

万能型FWベンゼマはダイエット成功で
「ジダン+ロナウド」に進化した

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

 クリニックでひと夏を過ごし、8kgの減量に成功している。プレシーズンマッチでは7試合8ゴールと効果はてきめんだった。軽さはプレーの幅を広げ、隠れていた能力を発揮する助けになった。

 リヨンで「ロナウド」だったベンゼマだが、レアル・マドリードでは違う「ロナウド」、クリスティアーノ・ロナウドがいた。センターフォワードのベンゼマは左ウイングのC・ロナウドのためにスペースを空け、時には守備を肩代わりするなど、C・ロナウドに得点させるための黒子的な役割をこなしていく。個人技だけでなくチームプレーもできる万能性は、レアル・マドリードで生きていくための重要なツールになった。

 C・ロナウドがユベントスへ移籍し、ベンゼマはいよいよエースとしての振る舞いを求められたが、すぐに新しいC・ロナウドとも言えるエデン・アザールが来ている。現在32歳。経験豊富なベンゼマにとって、C・ロナウドほど得点マシーンではないアザールとの協調は、さほど難しくもないはずだ。

<移民系の選手>

 15年11月、ベンゼマはフランス警察当局によって逮捕された。容疑はフランス代表の同僚である、マシュー・ヴァルブエナへの恐喝である。最終的に無罪が確定したのだが、この一件でベンゼマは18年のワールドカップメンバーから外れている。

 発端はヴァルブエナが友人を通じて携帯電話のデータを移行した際にデータを抜き取られ、犯罪グループからの恐喝が始まったことだった。ヴァルブエナは警察へ被害届を出し恐喝はなくなった。そこへ、合宿で顔を合わせたベンゼマから流出映像の件を解決してくれる友人がいるので、会ってみろと勧められた。問題はそのベンゼマの友人に犯罪歴があり、すでに警察からマークされていたことだった。ヴァルブエナはベンゼマの仲介を金銭目的の恐喝と受け止め、ベンゼマ逮捕へ至る。