2020.07.01

久保建英の「攻撃の渦」の作り方。
底が見えない才能に市場価値も上昇中

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 中島大介●写真 photo by Nakashima Daisuke

 久保は4-4-2の右サイドで先発。心理的にストレスのかかる試合のはずだが、プレーは落ち着き払っていた。

 6分、GKマノロ・レイナのロングキックをアンテ・ブディミルが落としたボールを収め、運びながら、相手を引きつけ、前を走るブディミルに当て、一度サイドに預けられたボールを再び受ける。そこで状況を見ながら、ターンしてプレスを回避。左サイドにフリーで入ってきた選手に展開した。結局、このプレーが先制点となるPKにつながった。

 久保のプレーは得点に対して直接的ではなく、何気なく見えたかもしれない。しかし、ボールを預け、受け、預けるという連続性が迅速かつ的確で、"攻撃の渦"を作っていた。時間的、空間的に優位な味方へのパス。それが、次のプレーにアドバンテージを与えていたのだ。

 その後の4得点も、すべて久保が渦を作っていた。

 26分、久保は左サイドに回ってボールを後方から受ける。一瞬の判断で、前でボックス内に入ろうとしていたクチョ・エルナンデスの動きに合わせ、右足に滑るようなボールを入れた。無駄な動きがないシュートを導き出すことで、ゴールを演出したのだ。