福田正博が考察。久保建英の成長に理想的な来季のクラブは? (2ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by AFLO

 ただ当時から、この意見には懐疑的だった。なぜならBチームで経験を積んでも、それは実質3部リーグでの経験であり、ラ・リーガ1部のレベルを経験できるわけではない。そこからAチームに昇格したところで、今度は試合出場への壁が立ちはだかって、1部でプレーできる経験数は限られてしまう。結果的にトップレベルでの経験不足に泣くことになるように思えたからだ。

 それよりはレアル・マドリードから一時的に離れても、ラ・リーガの1部のレベルを実戦で吸収するほうが、久保にとっては大切だと思っていた。それだけにマジョルカでシーズンを送りながら、1部の試合を継続的に体感したことが、久保の成長につながったと思う。

 マジョルカでの久保は試合に出られない時期も経験しながら、そこを乗り越えて、最近の終盤戦ではチームに欠かせない戦力となった。そのうえで来季を見据えると、次は中堅クラブにステップアップするのが久保にとっては最良の道だと思う。

 もちろん、レアル・マドリードに復帰という話もある。だが、いまの久保にとって、もっとも必要なのは試合に数多く出場すること。ビッグクラブに戻ってしまうと、スタメンを確保できなければ、試合経験は限られたものになってしまう。

 選手のクオリティーが高いビッグクラブの練習は、参加するだけでも刺激は多く、得るものもあるだろう。しかし、久保の成長を考えれば、それよりも試合に出場する経験のほうが優る。だからこそ伸び盛りの時期は、試合に出られる環境を最優先に考えてもらいたい。

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