バルサらしさの消失。首位陥落よりも未来を左右する深刻な問題がある (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by AP/AFLO

 危惧すべきは、最後の10分だろう。

 マルティン・ブライスワイト、アントワーヌ・グリーズマン、ジュニオル・フィルポ、アルトゥール・メロと、移籍金だけで250億円ほどの大金をつぎ込んだ選手たちを次々に投入。するとプレーの質は、明らかに劣化した。

 ボールが転がらなくなり、FKを直接叩き込まれ、同点に追いつかれてしまった。終了直前にも守備の乱れで決定機を与えたが、相手選手のシュートがGKの正面で、事なきを得た。

 バルサは"始祖"ヨハン・クライフ以来、独自のボールゲームをラ・マシアから一貫して作り上げてきた。ロマーリオ、リバウド、ロナウジーニョのような超一流選手の補強は必要だったが、土台はラ・マシア組だった。なぜなら、能力が高いからと大枚を叩いても、ボールをつなげて敵陣に迫る独特のテンポに合わないからだ。

 フィリペ・コウチーニョは、1億2000万ユーロ(約160億円)の移籍金で獲得したが、肌に合わなかった。今シーズンはバイエルン・ミュンヘンにレンタルで出したが、評価は低下する一方だ。市場価値は3分の1になっていると言われ、引き取り手がないありさまだ。

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