堂安律の本拠地で驚愕のおもてなし体験。名勝負が生んだ美しい光景 (5ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 赤木真二●写真 photo by Akagi Shinji

 カンプノウで行なわれたこの第1戦も観戦していた筆者としては、マン・オブ・ザ・マッチは、勝ったバルサからではなく、PSV側から出したい衝動に駆られた。

 ルク・ニリス。28歳だったベルギー代表のFWだ。当時、オランダのサッカーは日本在住者には馴染みが薄かった。この前シーズンに欧州一に輝いたアヤックスでさえ、知る人ぞ知るチームだった。PSVのアタッカー、ルク・ニリスは、さらにその奥に潜んでいた名手になる。

 この時代、このような日本と欧州との距離の遠さを痛感させる選手はザラにいた。それがいまやほぼゼロだ。情報は漏れなく伝わってくる。

 それから9年経った2004-05シーズン当時はどうだっただろうか。

 ミランとリバプールがイスタンブールで対戦したこのシーズンのチャンピオンズリーグ(CL)決勝は、大いに盛り上がった。ミランが前半を3-0で折り返しながら、後半、リバプールが同点に追いつき、延長PK戦を制した一戦である。名勝負といわれるが、カルロ・アンチェロッティとフース・ヒディンクが火花を散らした準決勝のミラン対PSVも、負けず劣らずの感動的な、まさに隠れた名勝負だった。

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