2020.06.30

堂安律の本拠地で驚愕のおもてなし体験。
名勝負が生んだ美しい光景

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 赤木真二●写真 photo by Akagi Shinji

 しかしここはスタジアム。凍てつく寒さの中で2時間近く耐え忍ばなければならない。厳冬服に身を包んでいなければ、凍え死んでしまう。観戦にあたり、せっかく万全な態勢を整えてきたのに、なぜここで上着を脱いで預けなくてはならないのか。

「ノー、サンキュウ」と言って、先へ進んだが、前の人も後ろの人も、当たり前のように上着を脱いで預け、部屋着に近いセーター姿になっている。狐につままれたような気分で、プレスルームのドアをくぐれば、そこにはまた別の驚きが待っていた。

 発色のいい真っ赤な絨毯に圧倒された。その中央にはピカピカのバーカウンターが設置されていて、蝶ネクタイ姿のバーテンダーが記者たちの注文に応じている。バルサ戦だから特別、というわけでもなさそうである。

 欧州の取材現場には、その何年か前から頻繁に出ていたので、記者に飲食を提供する習慣には慣れていたつもりだったが、PSVのおもてなしは、他とは少々、レベルが違っていた。フィリップスという企業名をクラブ名に取り入れている矜持のようなものを見た気がした。

 オランダには芝のピッチが1万面以上ある。PSVはピッチを12面、持っていたと記憶するが、街場のクラブにレンタルされているピッチも多数ある。聞いてびっくりするほど安い値段で借りることができる。