2020.06.30

堂安律の本拠地で驚愕のおもてなし体験。
名勝負が生んだ美しい光景

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 赤木真二●写真 photo by Akagi Shinji

 収容人員は約3万5000人。視角の急なサッカー専用スタジアムだ。

 初めて訪れたのは1995-96シーズンのUEFAカップ(ヨーロッパリーグの前身)準々決勝。PSV対バルセロナ戦だった。

 カンプノウホームで行なわれた第1戦は2-2。内容ではPSVのほうが勝っていた。試合内容もよかった。どちらが勝つかわからない、接戦になりそうな高揚感を抱いたことが、1996年3月19日、フィリップス・スタディオンを訪問した一番の理由に他ならなかった。

 オランダの3月といえばまだ極寒だ。試合開始は20時30分。覚悟しながらメディアの入場ゲートに向かった。オランダ語で「Receptie」と書かれてある、ホテルのフロントを連想させる受付を抜けると、これまたホテルに入ったような言葉を掛けられた。

「上着を脱いでください。預かります」

 結婚式など、ホテルで行なわれるパーティに出席すると、受付の近くにコートなどを預けるクローク係がある。それと引き替えに番号カードを渡されるあの仕組みと、この場合も同じだった。