元ブラジル代表主将を襲う悲劇。正直で善良なカフーの笑顔が曇った (3ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 ところが、2017年頃からこの基金の資金繰りが苦しくなってくる。

「基金を運営するのには月4万ドル(約440万円)は必要だ。しかしスポンサーがどんどん撤退する今、私のポケットマネーだけでは厳しすぎる」

 カフーはそうこぼしていた。それでも、どうにか子供たちのために基金を存続させようと、金策に走ったようだった。しかし、2019年の7月にその借金が焦げ付き、基金を運営していたカフーの会社「カピ・ペンタ・インターナショナル・プレーヤー」は破産した。

 5つの銀行と融資会社が債務不履行でカフーを訴え、その清算のために、カフーは5つのマンションを売り払った。それとは別に、裁判所は彼と妻のレジーナが所有する15の不動産も差し押さえた。

 当時、基金には950人の子供たちが在籍していた。基金がなくなれば、子供たちは行き場も食べるものもなくなってしまう。カフーは存続のために奔走したが、2019年のクリスマスを前に、施設はついに閉鎖されてしまった。息子の死に続いて、今度は16年続けてきた基金を失ってしまったのだ。

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