ブラジル大混乱で本田圭佑は大丈夫か。
再開→中止→また開催の裏事情

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 フラメンゴは昨年のリベルタドーレス杯優勝チームであり、現在ブラジルで一番強いチームだ。いい選手もそろっていて、つまり、選手に支払う報酬もブラジル一高い。

 しかし、試合が中断されたおかげで、彼らは収入源を断たれてしまった。入場料収入もテレビの放映権料も入らない。フラメンゴは一日も早い試合の再開を望んでいた。

 そこに目を付けたのがブラジルのジャイール・ボルソナロ大統領だった。彼はコロナ禍の初期から、一貫して「コロナは風邪と同じ」とうそぶいており、自粛要請や移動制限などの手段を一切取ってこなかった。大きな利益を生むサッカーも、早急に再開をしたいと考えており、フラメンゴと意見が一致した。

 もうひとつボルソナロとフラメンゴの利害が一致したのが、ブラジル最大のテレビ局グローボに対する思惑だった。グローボはアマゾンのジャングルの隅々までも電波を飛ばせる唯一のテレビ局で、世論にも大きな影響力を持っている。そして、グローボはこれまで一貫して反ボルソナロの態度をとってきた。

 ブラジルでサッカーの試合は、リーグ戦もカップ戦もW杯もグローボが独占中継してきた。それに対してボルソナロ大統領は、リーグ再開の数日前に、新たな法律を発布した。それは、試合の放映権料の交渉権は100%ホームチームにあるというものだ(それまでは両チームの話し合いによって決められていた)。

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