久保建英が首位レアルに挑む。勝機をつかむためにどこを突くべき? (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Quality Sport Images/Getty Images

 レアル・マドリードの選手は気持ちを切らさず、ジダンを信じ、練習に集中することができる。コンディションが整った時には、必ずプレー機会を与えられ、活躍できる。その空気があるのだ。

 結果、試合ごとにヒーローが生まれる。

 バレンシア戦で、ひざ前十字靭帯断裂からほぼ1年ぶりの試合出場になったマルコ・アセンシオは、交代出場で鮮烈なゴールを決めている。ファーストタッチでの得点。左サイドから速いボールを左足ボレーで合わせた。

 ジダンはリーグ戦再開後、アセンシオを先発が予想されたエイバル戦では使わず、バレンシア戦も終盤での投入だった。マスコミからは「なぜ使わない?」と重圧をかけられていたが、指揮官は泰然自若としていた。まるで、"神降り"のタイミングを計っていたかのように――。

 その采配は神がかっている。その一方で、フランス人指揮官は「戦術的には凡庸」と言われる。

 基本的に、「堅守カウンター」のリアクション重視。「戦力的に恵まれたチームが守備を整え、カウンターやセットプレーで差をつけたら、敵が止めるのは難しい」という極めて現実的論理を貫く。天才ジョゼップ・グアルディオラのような、鍛え上げたプレーのオートマチズムの斬新さはない。しかし "選手ありき"で、状況に応じて個の優位性を組み合わせられる。

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