2020.06.23

カズのジェノアでのプレーより
印象に残ったスタジアムと震災の記憶

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 赤木真二●写真 photo by Akagi Shinji

 その翌シーズン、セリエAで得点王に輝いたガブリエル・バティストゥータ(当時フィオレンティーナに所属)のシュート音も、筆者はミラノのサンシーロで聞いている。こちらもスタジアムを震撼させる、まさにドスの利いた一撃だったが、どちらにより仰天したかと言えば、フリットのキックになるになる。

 ご承知のように、スタジアムはイタリア語で「スタディオ」と言われる。日本人は、それを聞いて、より密閉された空間をイメージする。フリットのシュート音が、サンシーロで聞いたバティストゥータのシュート音に勝った理由は、「スタジオ度」でルイジ・フェッラーリスが勝っていたからだ。密閉性が高い分だけ、重く響いたのである。

 ルイジ・フェッラーリスは、その4年前に開催されたイタリアW杯の会場で、期間中4試合で使用された。全12会場の中で収容人員が最も少ないスタジアム(3万1823人)ではあったが、最も見やすいスタジアムであった。

 もちろんサッカー専用スタジアムだ。全景をひと言でいえば、箱形をしたミラノ・サンシーロの小型版。2015年に吹田スタジアムが完成した時、筆者は<アイブロックス(グラスゴー)+ルイジ・フェッラーリス>÷2と、記しているが、アイブロックスや吹田に近いスタジアムであることは確かだ。

 だがスタンドの傾斜角は、2階席が35度ある吹田より急だ。上階はそれ以上ありそうなサンシーロ、さらにはバレンシアのメスタージャ、サンティアゴ・ベルナベウ、ヨハン・クライフ・アレーナなど、世界的に急角度だと言われているスタジアムを凌ぐ。