2020.06.19

フランスサッカーMFの系譜。
代々受け継がれる「水を運ぶ」力がスゴイ

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

 ディディエ・デシャン監督は、4-4-2をベースに堅固な守備から鋭いカウンターアタックを繰り出すチームをつくるのが得意だ。これは監督として最初に指揮を執ったモナコの時から変わらない。モナコではチャンピオンズリーグ(CL)準優勝、その後はマルセイユでリーグアン優勝。マルセイユには黒人選手が多く、デシャンは彼らの活用の仕方をよく知っている。

 ロシアW杯のフランス代表では、ボランチのコンビにポール・ポグバとカンテを起用した。この2人の関係はプレースタイルと体格の凸凹感で、かつてデシャンもプレーしたナントでのエンドラム&マケレレと酷似している。そして、デシャンはもう1つのペアもつくっている。右サイドハーフのキリアン・エムバペと左のマテュイディだ。

 エムバペとマテュイディのポジションは、距離が離れすぎているのでコンビとは言えないかもしれないが、戦術的には明らかに補完関係にある。驚異的なスピードスターのエムバペはカウンターの切り札だった。守備の時に攻め残ることも多い。

 その分、左のマテュイディが早めに引いて、カンテ、ポグバとともに中盤のラインを形成していた。点の取り合いとなったラウンド16のアルゼンチン戦で、右のハーフスペースから動き出すリオネル・メッシに対して、マテュイディとカンテで対応できたのは大きかった。

 ボールを奪えるMFを並べ、奪ったボールを即時に縦へ、スピードスターが裏をつく。そのために起用する選手のバランスがモナコとフランス代表でよく似ていた。デシャン監督自身、現役時代は「水を運ぶ」人だったので、その重要性をよく理解しているのだろう。