2020.06.17

フランス式おもてなしに感心。
ユーロ2016で生まれた傑作スタジアム

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 赤木真二●写真 photo by Akagi Shinji

 そうしたなかで、最優秀と言いたくなる断トツの輝きを放っていたスタジアムがあった。ブラジリアのナシオナルだ。アテネのパルテノン神殿を彷彿させる無数の円柱がスタンドの屋根を支える構造に、まず目は奪われた。厳かさと斬新さという異なるイメージを共存させているところに、インパクトがあった。

 ユーロも新しいスタジアムが誕生する機会になる。ブラジルW杯の2年後。フランスで開催されたユーロ2016で最もよかった新スタジアムはどこかと問われれば、ボルドーのヌーボ・スタッド・ド・ボルドー(スタッド・マトミュット・アトランティック)と答えたくなる。

 筆者が観戦に出かけた試合は準々決勝ドイツ対イタリアだった。それまでジロンダン・ボルドーが本拠地にしていたスタジアム(スタッド・シャバン・デルマ)は街の中心に近い場所にあったが、新スタジアムが建っているのはトラムの終着駅。TGV(フランス新幹線)が停車する国鉄駅(ボルドー・サンジャン駅)から、終着駅(パルク・デ・エクスポジシオン)まで、トラムで優に30~40分はかかる。