名勝負と名物料理がある幸せ。ユーロで目撃した「どんちゃん騒ぎ」

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 赤木真二●写真 photo by Akagi Shinji

追憶の欧州スタジアム紀行(10)
エスタディオ・ダ・ルス(リスボン)

 欧州5大リーグといえばスペイン、イングランド、ドイツ、イタリア、フランス。ポルトガルリーグ(UEFAリーグランキング6位)はメジャーとは言えない。ポルトガルを訪れる回数は、その分だけ少なかった。その第2の都市であるポルトは、FCポルトがチャンピオンズリーグ(CL)にたびたび出場していたので、訪問する機会もそれなりにあったが、首都リスボンは遠い場所だった。ユーロ2004までは。

 ユーロ2004。開催に名乗りを挙げたのはスペインとポルトガルで、下馬評で断然、スペインが上回っていた。欧州内で経済的に遅れていた小国ポルトガルが、招致レースでスペインに勝った理由は、謎と言えば謎だった。

ユーロ2004のために建て直されたベンフィカの本拠地、エスタディオ・ダ・ルスユーロ2004のために建て直されたベンフィカの本拠地、エスタディオ・ダ・ルス しかしその結果、ポルトガルには、街の再開発とリンクさせた都市計画に基づく10のスタジアムが誕生した。その2年前に開催された日韓共催W杯のために建てられた日本のスタジアムにはない、今日的なスタジアムが、である。もし2004年のユーロがスペインで開催されていたら、それらは誕生していなかった可能性が高い。ポルトガルを選択したUEFAの判断は正しかった――とは、ユーロ2004の現場で思った率直な感想だ。

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