2020.05.30

柴崎岳は「あらゆるスタイルに適応できる」。
1部復帰に必要なことは?

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

「柴崎はどのポジションもできるが、トップ下に適性を感じさせる。その決断力と技術力は非凡だ。バイタルエリアで相手を混乱に陥れる」

 長年にわたって日本代表のスカウティングリポートを綴ってきたスペイン人指導者のミケル・エチャリは、2009年に柴崎をスカウティングした時に、激賞するのと同時に、こんなメモもしていた。

「プレーメイクもそつなくやってのけるが、ディフェンシブな能力の持ち主ではない。ボランチで出場する場合は、もうひとりが守りに専念し、負担を軽減することが条件になる。トップ下でなくプレーメイカーなら、もっと強いパーソナリティーを出す必要があるだろう」

 それは予言的だった。

 2018-19シーズン、柴崎はヘタフェで完全に構想から外れてしまい、7試合出場で退団した。市場価値は低下し、結局、1部のクラブとの話はまとまらなかった。卓越したプレーセンスにより、どのポジションでもプレーできるが、1部では「それなりにできる」では足りない。むしろ、天才の脆弱性の方が出てしまうのだ。