2020.05.26

乾貴士がリーガで成功の金字塔。
バスクの土地と人が味方になった

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 中島大介●写真 photo by Nakashima Daisuke

 乾が戦術的に未熟で守備に問題があった時(プレスをかけるタイミングが周囲と連動せず、ひとり突出していた)も、ボールホルダーの進行方向とパスコースを切って、ボールを下げさせる守備ができるようになるまで、1年目は強豪相手ではベンチに置き、我慢強く適応させていった。

 2年目、乾は28試合に出場し、3得点を記録する。この数字だけを見ると、1年目の27試合出場、3得点とほとんど変わらない。しかし、1年目が18試合先発だったのに、2年目は26試合先発だった。そして3年目は31試合先発で5得点。主力からエースになったのだ。

 エイバル在籍3シーズンの活躍で、乾は2018-19シーズン、アンダルシアの雄、ベティスへ移籍している。当時のベティスはキケ・セティエン(現バルセロナ監督)が率い、ヨーロッパリーグに参戦するなど、欧州でも有力クラブのひとつと言っていい。乾も欧州カップ戦の舞台を踏んだ。

 結果から言えば、ベティス挑戦は失敗に終わった。ポジションが見当たらず(システム的には3-4-2-1に近く、サイドアタッカーのポジションがなかった)、次第にセティエンの構想から外れていった。リーグ戦はわずか8試合出場で0得点だった。