華やかなイタリアW杯決勝の舞台で実感。欧州に「同国人のよしみ」なし (6ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 赤木真二●写真 photo by Akagi Shinji

 マンUサポーターはインドア的で、レストランやカフェなどで、ローマの熱い初夏の陽射しを避けるように、ビールをゆっくりあおりながら、まったりと時間を過ごしていた。

 オリンピコに早く集合したのはバルサファン。10分、15分、平気で試合に遅れてくるカンプノウでの通常とは異なり、真面目で気合いが入っていた。欧州一のタイトル獲得に飢えているのはバルサ。連覇を狙うマンUサポは、渇望感に欠けている――との見立ては、的中することになった。

 バルサはマンUを2-0で下した。CL2連覇が難しい理由を、ローマ市内におけるマンUサポーターの行動に垣間見た気がする。

 だが、オリンピコと言われると、やはり90年W杯のメディアセンターを想起する。プールが見えるテラス席で、ワインを飲み、チーズをつまんだ記憶はいまなお鮮明だ。30年前のオリンピコは、戻りたくなる場所、時間なのである。

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