久保建英のゴール前の駆け引きから「サッカーIQ」の高さがわかる (2ページ目)

  • 篠 幸彦●文 text by Shino Yukihiko
  • 西村知己●イラスト illustration by Nishimura Tomoki

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右へ切り返して、股抜きシュート

 久保はすでに、ラ・リーガのDFたちから警戒される選手となっている。それはこのシーンでの相手DFパウロ・オリベイラの対応からも顕著だった。久保がゴール正面を向いてボールをコントロールすると、パウロ・オリベイラは深く腰を落として明確に左足の前に立った。明らかに久保の左足を警戒していた。

自分の左足を警戒する相手を逆手に取り、久保はボールを右に持ち出して右足シュートを決めた自分の左足を警戒する相手を逆手に取り、久保はボールを右に持ち出して右足シュートを決めた もうひとりのDFペドロ・ビガスは中に絞りながら、ポゾの動きを見ていたはずである。回り込むポゾへ久保からパスが出た場合、パウロ・オリベイラがスライドしてそのカバーに入るか。あるいは、ビガスがそのままポゾに対応するか。久保の左足のシュートコースを消しながら、ふたりは次のアクションを待っていた。

 そんな対応にも動じない久保は、ポゾが背後を回ろうという瞬間、コンパクトに右へ切り返した。その切り返しにパウロ・オリベイラは立ち尽くし、ビガスは逆を取られた。ふたりは久保の右足は捨てていたのだろう。

 素早くシュートモーションに入る久保に対し、ビガスはなんとかブロックの足を伸ばした。しかしそれも想定済みの久保は、開いた股下を抜いてゴール左ポストの内側を叩くシュートを放った。

 警戒した相手の対応を逆手にとった巧みな駆け引きで、18歳とは思えぬクオリティを見せつけた久保のゴラッソだった。

【動画】久保がゴールを決めたエイバル対マジョルカ戦ハイライト>>
(久保のゴールシーンは、3分54秒~4分40秒)

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