2020.05.22

大久保嘉人が「喧嘩腰」で挑んだリーガ。
相手の態度が許せなかった

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

「日本人は見下されとる、なめられとる、というのを感じる」

 大久保は、そう洩らしていた。超がつくほど負けん気が強い男だけに、相手の態度が許せなかった。試合では、敵選手としばしば衝突した。汚い言葉を使い、罵り合った。コンタクトプレーの応酬で、相手がキレて、ボクシングのアッパーカットのような掌底を食らい、失神しそうになったこともある。

 全方位的な戦いは、精神を疲弊させた。デビュー戦の衝撃でポジションをつかんだ一方、試合のたびに、評価は下がっていたのだ。

「大久保は、言葉の壁によるコミュニケーション不足でストレスをため込んでいる」

 当時の指揮官であるエクトール・クーペルは、そう説明していた。

「デビュー戦で示したように、大久保は生来的なゴールゲッターと言える。ただ、コミュニケーションが取れず、イラつきを感じるようになって、迷いが見えるようになった。そこで、『パスが来ない』という不満を吐き出させた」

 しかし、その後も大久保の調子は上がらない。第25節のレバンテ戦からの10試合は3試合出場で、スタメンは1試合のみだ。