セリエA再開にウルトラスが猛反発。「犠牲者にリスペクトを!」 (3ページ目)

  • パオロ・フォルコリン●文 text by Paolo Forcolin
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

「再開を望む気持ちが大きいのはわかる。だが、確実な対応が取れなければスタートさせない。サッカー選手はスーパーのレジ係とは違う。集団で走り、汗をかき、ぶつかり合うスポーツ。ソーシャルディスタンスを保ってのプレーはまず不可能だ」

 再開後、もし選手が試合後に陽性となったらどうなるのか。もちろん、すぐにその選手は隔離され経過観察になるが、影響は本人にとどまらない。チームメイト、コーチ、マッサー、チームドクター、そして相手チームの選手、スタッフに至るまで隔離の対象となる。つまり、ひとりの陽性者が出ただけで、リーグはストップすることになるだろう。そうなればフランスと同じように、今シーズンは中止となるに違いない。

 こうしたリスクを冒しても、再開したいのにはチームの経済問題が絡んでくる。

 クラブチームの財政のかなりの部分はテレビ放映権で賄われている。1年分の放映権は通常6回に分割して支払われるが、リーグがストップしたままだと最後の1回分の支払いがなされない可能性がある(5回分はすでに支払い済み)。額にすると1千万ユーロ(約12億円)近く、多くのチームにとっては死活問題だ。

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